学園集

□お友達からおひとつどうぞ
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お友達からおひとつどうぞ







風も穏やかな、暖かい春の香りの満ちる新学期。

ついこの間まで高校二年生で一つ上に進級したヴィラルは、誰もいない桜並木の一本道を一人歩いていた。
ゆっくりとした歩調で、一歩ずつ踏み締めながら歩みを進める。
花弁が舞う中を歩く度、その美しい金糸の髪が日の光に反射してキラキラと輝いている。


「おはよう、ヴィラル」
「おはよう。早いな」


丁度曲がり角で鉢合わせしたのはシモンだった。
彼は、ヴィラルと腐れ縁またの名を幼なじみである男の後輩で、一つ下の2年になる。
フレンドリーとまでは大分違うが、会えば会話位は交わす仲ではあった。
初めの頃はシモンも目上であるヴィラルに対して敬語で話していたが、本人の希望と慣れない為からいつの間にか砕けた形で話し掛けるようになっていた。


「今日からヴィラルも最上級生になるんだなぁ。何だか実感湧かないな」
「貴様が実感してどうする。それを言うなら貴様が進級出来たことが実感出来ん」
「ああ〜、言ったな!」


こんな和やかなムードの中、そうこうしている間に二人は校門の前まで来ていた。









080413


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