学園集

□世界最恐と謡われますは、
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世界最恐と謡われますは、




→シモン語り





本日は学年全体での身体測定実施日である。

体育館で始まって20分。
あまりにもダラダラと長い待ち時間に、バラバラと生徒の溜め息が漏れ始めた。
退屈凌ぎの娯楽なんてあるはず無く、ただ目の前を行く先輩後輩をぼんやり見つつ欠伸を漏らす。

「ふぁ」
「本日、7回目ね」
「リーロン…。別に数えてくれなくてもいんだけど。もしかしてずっと見てたのか?」


3年生のリーロンは生徒会・会計を任されている。
その為、ハチャメチャな言動の多い兄貴のサポート役として効率良く仕事をしてくれている。


「フフンvあまりにも可愛らしい欠伸だったからつい魅入っちゃったわ(って、あからさまに開眼しないでくれる?)」


彼(?)の同性を見る目は自分達と比べて少し違うと思う。前々から分かってはいたが…。
しかも、その対象が兄貴とヴィラルに向くと一層威力が増すから凄まじく恐ろしい。
あぁそう言えば、いつぞやヴィラルが『ヤツの半径5メートル以内には近付きなくない!』みたいなことを青冷めながら言ってたっけ。


「全く。シモンさんは気が緩みっぱなしじゃないですか。仮にも生徒会委員なんですから、しっかりして頂かなくては生徒に示しが尽きません!」


入学当時から現在まで同じクラスで、幼い頃からお互いを知っている幼馴染みのロシウ。
こいつもまた俺とリーロンと同じ生徒会委員で書記を務めている。


「ロシウ…たかが身体測定如きで大袈裟な…」
「大袈裟に言わないと貴方に伝わらないでしよう!」
「ウフフ。ロシウみたいに肩に力が入り過ぎててもアレだけど、ダラケ過ぎてても困りものね…」
「アレとは何です?第一シモンさんにはいつも言ってますが、日頃から貴方は自己管理が成っていない。そんなだから遅刻はするし授業中に居眠りをするんです。この前だって〜(略)」
「(…母ちゃんか)」


ロシウの言葉が右から左にスムーズに流れていく自分の便利な特技に感謝しつつ、この隙に兄貴を目聡く見付けていつの間にか姿を消したリーロンの素早さに最早感服する。
兄貴とヴィラルにとってリーロンが天敵のように、俺からしてみれば目の前で原稿用紙3枚分はいけそうな程喋っている真面目の塊みたいなこいつの方が末恐ろしく感じてやまない。










081006


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