短編集

□英雄はどこまでも
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英雄はどこまでも

シモン独り語り





総司令になって早ひと月が過ぎようとする。
今この瞬間に至るまで数多くの出逢いとエピソードを抱えてきた。

「穴掘りシモン」なんて呼ばれて、一日中ずっと穴を掘り土と砂埃にまみれていた地下生活。
そんな俺に光をくれたのがカミナの兄貴だったんだ。
兄貴はどんなときも前を…いや、真上だけを向いて天辺を目指していてくれた。

不器用で男気に溢れていておおざっぱで鈍感で優しくて強くて頼れた兄貴。
何よりも、誰よりも、自分の拳に絶対的なプライドとねじ曲げない誇りと貫く心を持っていた男。
ある時は馬鹿笑いあい、ある時は思いっきりぶん殴られ、ある時はドデカい懐で弱っちかった俺を支えてくれたのは何よりも、今や地上の英雄と詠われているカミナだ。


そんな彼が命をはって守ろうとしたこの光―――決して、絶えさせてはいけない。

意志を受け継ぎ、自分を信じてくれた兄貴と俺が信じた俺に嘘も後悔もあっちゃならない。
今を支えてくれる仲間を俺が支えて、俺が俺である限り信じたものを守り抜いく。
それが、兄貴と俺の何人たりともねじ曲げることのできない【俺】だ。










080325


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