『足枷ネフロレビス』

□序
1ページ/2ページ


私は、此所に居ても良いのだろうか。

何時まで私は、この無意味な世界に存在し続けるのだろう。

嗚呼、責め立てるように風だけが絶えることなく、
私は今日も罪を重ねる。


道を塞ぐ人間は皆断ち斬った。
“彼”が、そうしろと言ったから。
殺すよう命じられたから、その場で剣を振った。

“彼”が望んだことだから。


空っぽの私は“彼”に依存することしか出来なくて

ひたすらに血を浴び続けては、元より赤い髪を更に赤で染めていった。


もう限界だったのだ。
その証拠に、私は“彼”の思惑通りに堕ちていく。
垂直に。


「見えるだろう。非力な者共が身を灼かれていく様が」


見えない。

見えない。

もう何も見えない。


「見ろ。お前が斬り殺した人間共だ」


見ない。

見ない。


見せないで……。



お願い、そんな目で見ないで。
どうしてしまったの。
まるで悪魔の様。

お願い、そんな声で笑わないで。
神にでも為ったつもりなの…?


貴方に費やしてきた私の生涯は

貴方に費やしてきた私の心は

貴方が奪っていった
私の全ては……



憎い。憎い。憎い。


赦さない。



「赦さない!! 私は決して、お前を赦さない!!

―――…殺してやる」


殺してやる。


殺してやる。


私は虚ろ。
“彼”を殺すまで。

私は虚ろ。
死ねない、生きない。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ