WORST

□美女も野獣
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8時35分

毎朝遅刻ギリギリのその時間に
あの人はやって来る

一人で入口から入って来て
挨拶をする後輩に軽く返事をし、時には一言二言声をかけ
クツを履き替えると3年の教室に続く廊下へと消えてゆく

その人の姿を廊下の端から見つめるのが俺の日課になってる

蓮ちゃん達には「ストーカーみてぇだな」とか言われたけど
確かに自分でもそー思うけど

相手は先輩でしかもこの鈴蘭のトップクラスにいるよーな人だし
何よりあの人は一匹狼で近付き難い雰囲気があるし
小心者の俺には自分から話しかける勇気がない


もちろんそんなに怖い人じゃないコトは知ってる
花ちゃんにずいぶん期待してるみたいで花ちゃんとよく一緒にいる俺のコトも覚えていてくれてて時々話しかけてくれる
優しい人なんだ
俺から話しかけてもきっとあの優しい笑顔で答えてくれる

だけど

『鈴蘭一の美人』と影で噂される(誰も決して本人の前では言えないけど)程に整った容姿のあの人は
本当に綺麗で

やっぱり
俺なんかが簡単に近付いちゃいけない気がする


『ぁ』

ぼんやり入口の方を見ていると校庭からあの人が歩いて来るのが見えた

同時に回りにいた生徒達も色めく
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