WORST

□不自由の先に…
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「数ある不自由と戦わずして自由は手にできねーんだぜ」


十日前に言われた言葉が今もずっと頭から離れない



授業をサボり何となく向かった屋上には
指定席とも言える古びたソファにいつものように座る米やんの姿
近付いて見るといつもと違うコトがひとつ
雑誌を開いたまま春の暖かい風に吹かれ心地よさそうに眠っているということ


音を立てずそっと米やんの前にしゃがむ

風に揺れる金髪はキラキラ光り柔らかそうな髪に指を通したくなる
春の日差しに照らされる肌は白く透き通っていて触れたくなる
微かな寝息をたてる唇はほんのり紅く染まって見えて口付けたくなる

「本当べっぴんさんたいねぇ、米やんは」

声に出さず呟く

だけど、
綺麗な肌より
長い睫毛より
美味しそうな唇より

目が行って仕方ない場所がある

左目の少し下
目頭辺りからこめかみまで伸びる一筋の傷跡

いつ誰に付けられたのか

前に何気なく聞いてみたが
さらりと交され教えてもらえなかった

他の誰に聞いても知っている者はいなかった


この傷跡を見る度にもどかしさにとらわれる


俺の知らない昔の米やんを知りたくなる

決して教えてはもらえないだろうけど
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