CROWS
□僕はこの駅で貴方を待つ、例え飢えた狼達に噛みつかれても
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『すぐ行く』
米崎さんは振り向き答えると再び俺を見て
『何の用か知らねーが早いトコ帰れよ。またウチの連中に囲まれたら面倒だぜ?どうせ、武田達に言わずに来たんだろ?』
それだけ言うと駅の中へ入って行った
俺はその後ろ姿を名残惜しく見送った
―ちっ
らしくねぇな
結局、何も言えなかったじゃねぇか
『米崎さんだったのか?』
『は?』
未だに米崎さんが入って行った駅の方を見つめていた俺に
横にいた男が怪訝そうな顔で聞いてくる
『お前が会いに来た相手。米崎さんじゃねぇだろーな?』
『お・お前には関係ねーだろ?』
『…図星か』
『わ・悪ぃか?』
『悪ぃに決まってんだろ!?』
『何が?』
『それは…』
『てめーもあの人に惚れてるからか?』
『っ!?』
図星を突いてやるとソイツは顔を真っ赤に染めた
『ハハっ!中学生みてぇな反応!』
『う・うるせぇ!用がすんだんならとっとと帰れ!』
『言われなくてもそーするわい』
『二度と来んな!』
『うるせぇ』
俺はバイクに跨ると勢いよく走り出した
何も告げれなかったけど
今はあの人に覚えていてもらえただけで十分幸せな気分だった
end.