WORST
□ソレが僕の、貴方へのワガママ
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『コメ』
見かねた俺はコメを呼ぶ
『何だ?』
こちらを向いたコメに無言で十希夫の方へ視線を送る
十希夫の顔を見てやっとその胸中を察したコメは「しまった」と眉を歪めた
それを見たマサが「よけーなコトすんな」と非難の目を向けてくる
『悪ぃ、マサ。やっぱ行けねぇわ』
コメが申し訳なさそうに断る
それでもマサはなんとか約束を取り付けようとしばらく食い下がった
結局「今度奢るから、みんなで行こう」とコメになだめられ渋々頷いた
視界の隅で十希夫がほっと息を吐くのが見えた
『十希夫』
俺は十希夫に近づき周りに聞こえないよう声を落として話しかけた
『何すか?』
十希夫も小声で返す
『お前、もっと思ったコト言った方がいいんじゃねぇか』
『な、何のコトっすか?』
『トボケんなよ』
『別に…』
十希夫は気まずそうにうつ向く
どうせ
「年下だから」「ワガママだと思われたくない」「嫌われたくない」と気にしてんだろう
仕方ねぇな
『マサ、代わりに俺が行ってやるよ』
『ヤだ!』
『なんだと?ホラ!行くぞ!』
『おい!離せ!バカ軍司!』
俺は喚くマサを引っ張り階段へ向かった