CROWS

□僕はこの駅で貴方を待つ、例え飢えた狼達に噛みつかれても
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『…ついに、来ちまった』


駅前の広場の隅にバイクを停めた俺はゴクリとツバを飲んだ

目の前の駅舎には「永田駅」の文字
ここは鈴蘭のヤツらが通学に使う最寄り駅

ちょうど下校時間の今
鈴蘭のある方向から
サングラスに派手なシャツ、金髪・長髪・リーゼント…思い思いの格好をした鈴蘭生がタバコを吸いながらゾロゾロとやって来る


俺は物陰からその様子を伺う


コソコソ隠れて、なんて
こんな姿、他の武装のヤツが見たら笑われるだろーが
仕方がねぇ



少し前にも俺は人を探すためこの駅前に立ったコトがあった

あの時は入口の前に堂々と立ったのだが
今回はそうはいかない
理由が全然違う
当然、イザとなったらトコトンやる覚悟はある
けど、出来ればソレは避けたい

今、俺がここに来たのはケンカの為じゃねぇ
「武装の河内鉄生」として来たんじゃねぇ
ただの「河内鉄生」としてある人と話がしたくて来たんだ


だから
前回のコトですっかり鈴蘭の連中に「武装」であるのが知られちまってる俺は
ケンカになるのを避ける為に仕方なく姿を隠している



一目見た瞬間に心奪われ
あの日からずっと忘れられない綺麗なあの人にもう一度会うために
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