リクエスト短編集

□投下SS魔王三人雑談
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(こちらは某所に投下した魔王「今日も平和だ飯がうまい」・姫「お腹が減りました」・姫「私は……貴方になど屈しません」準拠の台詞形式短編となります。気になったらググってみてね!)



魔王「よく来てくれたな。異邦の王達よ」
魔王「ああ……」
魔王「我らが一堂に会したのは、他でもない」
魔王「つまり」
魔王「ああ、つまるところ」


魔王「正直何をするでもない」
魔王「だな」
魔王「むしろ何をしろと言うのだ。このような途方もなく非生産的な面構えが三人も揃って」
魔王「知恵など出し合ってみるか? スムーズな世界征服などについて」
魔王「何故そのような面倒な議論を交わさねばならぬ。それは私の仕事ではない。全面的に親族へ委託しているからな」
魔王「まあ、私も右に同じだ。流石に委託まではいかんが」


魔王「その内の一人は、先程から一向に会話に入ろうとせぬしな」
魔王「ええい貴様、いい加減に何か発言しろ。間が持たん」
魔王「第一、何をそれ程までに真剣に見つめているのだ」
魔王「……何?」
魔王「……『妻の写真』、だと?」


魔王「何を言うかと思えば下らぬな」
魔王「ああ。魔王たる者が女子供に媚びるなど、あってはならんだろう」
魔王「全く……だ?」
魔王「…………」
魔王「…………」


魔王「何だ、これは」
魔王「いや、妻は分かった」
魔王「貴様……この美人が貴様の妻だとほざくつもりか」
魔王「美人なだけでなく、またこう……立派な……を持っていらっしゃる」
魔王「無いな」
魔王「無いな」


魔王「いやいや、見栄を張ることは恥ずかしい事ではないぞ」
魔王「我らを謀り、一杯食わせた気になっただろうが、そう甘くはないぞ」
魔王「…………」
魔王「…………」
魔王「死ね」
魔王「くたばれ」


魔王「『美人で胸も豊富で少々ぶっきらぼうだが気が優しく二人きりの時はデレデレになる』だと?」
魔王「早く妄想だと言え。今ならまだ間に合う」
魔王「……はあ?」
魔王「我らにも妻の一人や二人いるだろう、と?」


魔王「生憎だが、私は未婚だ」
魔王「私もだ」
魔王「ただ、未婚ながら娘が一人いる」
魔王「ほう。どのような?」


魔王「さぞかし、貴殿のように立派な子であろう。ニートのようでは決してなく」
魔王「引っかかる物言いだな。一応、私も写真を持ち歩いていて……ああ、これだ」
魔王「死ね」
魔王「何だ二人口を揃えて」


魔王「まず、貴様にだけは言われてなるものかという輩が一人いるのだが」
魔王「先程と負けず劣らずの美人ではないか……貴様の血を引いているようにはとても」
魔王「ああ、血は繋がっていない。こいつが幼い頃に攫い、養子に」
魔王「…………貴様」
魔王「何故ドン引いているのだ貴様ら」


魔王「娘に欲情する訳が無かろう」
魔王「どうだか」
魔王「『私も妻との出会いは誘拐からだった』だと?一緒にするな」
魔王「……誘拐、か」


魔王「そうだな、このような機会またと無いのだし」
魔王「何だ、突然畏まって」
魔王「お二人に相談したいことがある」
魔王「ほう。面白そうだな。言ってみろ」
魔王「その前に、これを見て貰おうか」


魔王「死ね」
魔王「サラウンドで、か」
魔王「貴様も嫁自慢か。糞が。胸はささやかだがかなりの美人だというのに、何故貴様なんぞの……」
魔王「嫁では断じてない。こいつは私が以前、戯れに攫ってみた姫だ」
魔王「……ほう」


魔王「こいつの扱いに困っておってな……」
魔王「そう言われてみれば、柔和な笑みながらも、どこか勝気そうな女性だな」
魔王「ああ……こいつは本当に、酷いぞ」
魔王「それほど憔悴するまでにか?」
魔王「勿論だ」


魔王「まず、我が儘だ」
魔王「ほう」
魔王「私が側を離れればネチネチと嫌味を言い、酒に弱いだらしない共に飲み楽しめないではないかなどと無茶な文句を言う」
魔王「ほ、う?」
魔王「挙句勝手に婚約者を名乗り、式の段取りなども決められてしまった……」
魔王「…………」


魔王「そして極め付けだ」
魔王「……まあいい。言え」
魔王「こいつはやたらと私に性的嫌がらせを」
魔王「くたばれ」
魔王「何故。って殴るな。痛い。痛いから。双方同時は卑怯だぞ貴様ら」


魔王「はあ……世の中理不尽だ。婚約者も嫁もいない……」
魔王「血の繋がらない娘がいるなど……エロゲーか」
魔王「何か言ったか?」
魔王「いや、何も」


魔王「しかし何だな。案外、お互い苦労しつつも楽しそうではないか」
魔王「不本意ながら」
魔王「ああ、貴様は頷くな」
魔王「そうだ。貴様は我らには決定的に無い物を手元に置いているのだからな」
魔王「具体的に言うと……まあ、そうだな、希望だ」
魔王「夢でもあるな」


魔王「さてと、では酒でも飲むか」
魔王「む……」
魔王「折角集まったのだ。もう少し時間を費やしても構わんだろう」
魔王「申し訳ないが、私は下戸で……」
魔王「別に無理なら飲まずとも良いだろう。付き合え」
魔王「それならば……おお、貴様用意がいいな。巨乳の嫁がいるくせに」
魔王「いるくせに」


灰色「おやおやまさかの美味しそうな集会に出くわしてしまいましたが」


魔王「では次回の集合は未定ということで」
魔王「ああ」
魔王「解散」
魔王「さらばだ」


灰色「えー」




(台詞無いけど三人いますよ!)

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