短編

□魔王「今日も平和だ飯がうまい」(加筆修正版)
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側近「働かずに召し上がる食事は、そんなに美味なものですか?」

魔王「何を言う。我が城のシェフの腕は確かだぞ、不味いわけがないだろう」

側近「はあ…」

魔王「……何だ」

側近「いえいえ別にー」



魔王「…………明日から」

側近「はい?」

魔王「明日から本気を出す」

側近「……(チッ)」

魔王「……(ビクッ)」



魔王「というわけで、見ろ。本気を出してみた」

側近「うわあい綺麗に手入れされていますねえ」

魔王「ふっ……薔薇園の剪定など私にとっては朝飯前…ってどこに行く側近!」

側近「俺は仕事があるんです。下らない用事で呼びつけないでください」

魔王「…………」



側近「で、本日は…………」

魔王「うむ。部屋の掃除だ」

側近「……」

魔王「このように骨が折れるものだったのだな。メイド達の苦労がよく分かった…って、どうした側k」

側近「いい加減にしろこの駄目魔王があああ!!」

魔王「?!(ビクッ)」



側近「あんたの仕事は魔王だろうが!どこの世界に薔薇愛でて爽やかに汗流して掃除する魔王がいる?!」

魔王「ここに」

側近「うるせえ黙れ」

魔王「魔王に何だその言い種は。ちゃんと敬え」

側近「ちゃんと魔王らしい仕事をすればな」



側近「ったく……先代様は人間の村を焼いたり国を乗っ取ったり、色々手広くこなしておられたのに……跡継ぎのあんたがこれじゃあな」

魔王「父上はやり手だったからな」

側近「あんたも先代様を見習って、しっかり魔王を勤め上げろよ!」

魔王「嫌だ。手広くやり過ぎたせいで、父上は人間に討たれたのだぞ?」

側近「だからって何もしないのもどうかと思うがな」

魔王「む……」



側近「いいか魔王城警備員。あんたがそんなんじゃ、下に示しがつかない」

魔王「警備員……」

側近「今はまだ安心だが、その内魔王の座を狙う奴だって出てくるかも知れん。俺とか」

魔王「くっくっく……側近は面白いことを言うな」

側近(若干マジなんだがなあ……)



側近「……三日やる」

魔王「?」

側近「何か、魔王として名が通るようなデカイ仕事を考えろ。実現可能な範疇でな」

魔王「……私が、か?というか、そもそも何でお前に命令され」

側近「出来なかった場合、ご自慢の薔薇園は焦土と化します」

魔王「くっ……人質とは卑怯な!!」



夜─

魔王「そう言われてもな……」
ペラッ…
魔王「外に出るのは面倒だし」
ペラッ…
魔王「かといって城で出来ることなどたかが知れている」
ペラッ…
魔王「人質さえ取られていなければ、こんな無茶な要求……人質?」
ペラッ…
魔王「…………?!」

魔王「これだ!」
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