短編
□三周年記念・しょっぱいデート実況
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【トアの膝枕】
トア「で、ご飯も食べたし。どうしよっか」
アルハイン「すみません我輩が不甲斐ないばかりに……」
トア「ううん!任せっきりにしちゃった私も悪いんだよ。だから気にしないで。こうして考えるのも楽しいじゃない」
アルハイン「うう……ありがとうございます。お詫びに今日の費用は全て経費で落としますので……」
トア「公私混同ぶりが潔いね!」
アルハイン「で、トアさんの希望なんかはありませんか? どこに行きたいーとか、何をしたいーとか」
トア「うーん……ちょっと思い当たらないんだよねえ」
アルハイン「そうですか……まあ、いきなり言われても困りますよねえ」
トア「まあねえ。アーさんと一緒なら、どこで何したって楽しいし……ってどうしたの? 急にテーブルに倒れこんで」
アルハイン「いえ、数百年ぶりに本気で死を恐れただけです……」
トア「よくわかんないけど、アーさんはメンタル無意味に弱いよね」
トア「じゃあ、アーさんは何かしたいこととかないの?」
アルハイン「は」
トア「あるなら何でも言ってね。今日は一日、ワイザーさんとかも来ないし時間はたっぷりあるんだから」
アルハイン「じゃ……じゃあ……あの、その」
トア「なぁに?」
アルハイン「何を言っても引きませんか?」
トア「も……モノによります」
アルハイン「じゃあいいです……!!」
トア「何をお望みなのアーさん!? あと泣かないでよーしよし!!」
トア「でも何なの、魔王だから何だかこう、拷問だったり焼き討ちだったりとかの、えげつなーいことがしたいの……? ちょっとそういう陰湿なのはどうかと思うの」
アルハイン「安心してください。吾輩そういった真っ当な魔王の仕事はとうの昔に放棄していますので」
トア「それもどうなんだろなーと思ったり思わなかったり。でも、それなら言ってもいいよ。何がしたいの?」
アルハイン「……してもらいたいんです」
トア「私に?」
アルハイン「膝枕を」
トア「…………はあ」
アルハイン「ええ分かっていましたとも! そんな微妙な真顔返されることくらい我輩だって!!」
トア「膝枕かあ……なんでわざわざ?」
アルハイン「いえ、最近こう、今後の参考にと人間の発行している低俗な雑誌類に目を通していまして」
トア「低俗な雑誌を参考にするアーさんもまた低俗なんだよ、同類なんだよ。まあいいや。それで?」
アルハイン「『恋人としてみたいこと』的な投稿コーナーがありまして……それを見ているうちに……」
トア「はいはい。色々やってみたくなったのね」
アルハイン「負けません恋人の冷ややかな目にも我輩負けません……とりあえず手軽に膝枕をお願いしたく」
トア「いいよ」
アルハイン「お幾らですか!?」
トア「恋人は基本無料です! 別途料金は発生しません!!」
トア「それくらいお安い御用だよー」
アルハイン「ううっ……ありがとうございます!じゃあ早速」
トア「私の部屋に行けばベッドがあるしそこで」
アルハイン「それはもう少し段階を踏んでから」
トア「へ?段階?」
トア「どういう段階?」
アルハイン「え、えーっと……そう!もっと仲を深めてから」
トア「何それー。今はまだ仲良くなってないの?」
アルハイン「い!? いえ決してそんなことは! ほら女性の部屋に上がるのは気が引けますし二階の客室に行けばベッドなんかたくさん」
トア「アーさん、私の部屋に何回も無断侵入したじゃない。客室のベッドはきっちり整えなきゃならないから面倒です」
アルハイン「いやあの、ベッド整えるとかやめて下さい……お願いします勘弁してください」
トア「なんで? 変なアーさん。ほら行くよー」
アルハイン「……はーい」
トア「で、やってみました。どうですかー」
アルハイン「もう死んでもいいです」
トア「ついさっきまで死を恐れていたのに受け入れてるよ……膝枕ってすごいんだね……」
アルハイン「そりゃまあ男のロマンですので……」
トア「うん、いいんだけどさあ」
アルハイン「ああ……トアさんのベッドが……トアさんの匂い……あだっ」
トア「匂いを! かがないの!!」
アルハイン「無理ですよー吾輩だって生きてるんですから。呼吸くらいは多めに見てもらわないと」
トア「ううう……理不尽だ……あ、ちょっと、寝ちゃだめだよ。うとうとしないの。もー……」
(VIPの『彼女ができたらしたいこと』的なスレをニヤニヤ見てるイメージなアルハイン)