短編その二

□'11Xmas小ネタ集
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ゲイン・レイミア夫妻の場合


ゲイン「……」

レイミア「で、これがトアへのプレゼントで、こっちがケルプちゃんの。ヨグのはこれでーロォには……あ、これでいいわね」

ゲイン「……おう」

レイミア「今年はあっちのアルハイン様陣営にもお送りしたいし、プレゼント選びも楽じゃないわねー」

ゲイン「……ああ」

レイミア「どうしたの?さっきから泣き崩れて床殴って、今にも自害しちゃいそうな感じで自分の首に剣当ててるけど」

ゲイン「お前がここまでしねーと俺のこと気にかけてくれねーからだよ!」



レイミア「何かあったの……?私はあなたの奥さんなんだから、何でも言ってね?」

ゲイン「プレゼント……」

レイミア「へ?」

ゲイン「さっきから聞いてりゃ!!なんだよ俺にはプレゼントねえのかよ!」

レイミア「なっ、そ、そんなわけないでしょ!?」

ゲイン「畜生!俺はこの日のために地道にお前のポイント稼いでやってたってのに!!」

レイミア「あのね、あなた。一時間ごとに肩揉もうか?とかお茶いるか?とかソワソワ聞きに来るのを地道とは決して言わないのよ。魔王様に『ウザいから』って何回ボコボコにされたか覚えてるの?」



ゲイン「くそっ……もう新婚の頃みたいな甘ったるさを味わうことはできねーってのか……これが倦怠期……くっ……!」

レイミア「あ、そろそろ見回りの時間よ。行ってらっしゃいな」

ゲイン「嫁のスルースキルがやべーのか、天然こえーなのかが分からねえ……分かったよ行ってきますよ……はあ……」

レイミア「あ、あなたちょっと待って」

ゲイン「何だ……よ…………?」



レイミア「外は寒いし、風邪を引いちゃいけないから……よかったら付けて行ってね」

ゲイン「お前これ……編んだの?」

レイミア「う、そ、そうよ、悪い!?ヘタかもしれないけど、一生懸命編んだんだから!」

ゲイン「いや、めっちゃうめーってこれ。あったかいし。つか、いつの間にマフラーなんか……」

レイミア「魔王様の部屋で編ませてもらっていたの。秘密にしておきたかったから、あなたが来たらすぐに魔王様に追い返してもらえるよう頼ん、きゃ」

ゲイン「ありがとう……ありがとう。マジ大事にするからな」

レイミア「もー……苦しいってばー」



レイミア「喜んでもらえてよかった。協力してくださった魔王様に報告しなきゃ」

ゲイン「そうだな……俺からもちょっと礼を……いや待て」

レイミア「なあに?」

ゲイン「お前さっきホーティ宛のプレゼント出してなかったけど。ホーティにも俺と同じものを?」

レイミア「違うけど……どうして?」

ゲイン「お、おお、よかった……なんかこう、あいつとお揃いのものとかになると、一部に呪殺されかねんからな。じゃあホーティには何を贈るんだ?」

レイミア「えっとね、セーター」

ゲイン「おお、なるほど。この季節にはぴったりな」

レイミア「と、手袋と、ひざ掛けと、クマの編みぐるみと、靴下と、アイスクリームのケーキと、ティーセットと、髪飾りと、指輪と、不老不死の妙薬と、あとそれからー」

ゲイン「もういい分かった」

レイミア「?」

ゲイン「ちょっくら下克上してくる」 

レイミア「いってらっしゃーい。三分持てばいいわねー」




(婿養子の立ち位置の低さ)
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