ポケモン金銀
□in海
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「きゃっほーい!」
リュウナから飛び降りると、ブラックはさっそく着替えに走っていった。Nはレシラムに寄りかかって煌めくさざ波を見つめている。
僕たちが着替え終えると、ブラックがコジョンドのコーチャンを連れて海に飛び込むのが見えた。プルンゲル……プッちゃんは既に海の中のようだ。ポッちゃん(エンブオー)はレシラムの隣で悔しそうに遠ざかるブラックを見ていた。
『うおぉぉぉ!』
『ざぶーんなのざぶーん!!』
「ノーマ、エスナが流されないように見ててよ?」
『任せとけ!』
『うえぇぇ……暑いよホワイト……』
「リーファ……水に入るか日陰に行くか、どっちかにしなよ……」
『み、水……』
『わぶっ!』
リーファが海に飛び込む。盛大な水しぶきがあがり、浜辺に座っていたボルタを直撃した。ボルタは目に入ったのか、ほろほろと涙をこぼして黙り込んだ。
そんな光景を後目に、僕も海に入る。ノーマが浅瀬で素晴らしいクロールを披露していた。
「ノーマ、何でそんなに泳げるの……」
『テレビでイッシュ水泳選手権見て以来、風呂で特訓してたからな!』
「……あっそ」
『ホワイト!貝見つけた!綺麗な貝!!』
「どれどれ……あー、桜貝かな?これ、薄くて割れやすいんだよね」
『鞄に入れてくるよ!ママさんへのお土産!』
「……ホワイト」
「ん、どうしたの?」
Nが僕をつついた。その目は悠々と沖を泳ぐブラックを追っている。
「あっ、もっと沖に行く!?」
「いやいやいやいや!」
「じゃあ何さ?」
「う……」
『素直に言ったらどうです?』
「……」
『じゃあ私が代わりに言います』
レシラムがぐっと身を乗り出した。
『ホワイトさん、その子の泳ぎの特訓をお願いしまーす!』
「わーッ!レシラム、そんな大声で……」
『他の人には聞こえないから大丈夫ですよー』
「いやそうじゃなくてこういうときホワイトってなかなか情け容赦がないから……」
「うん、よくわかってるね。じゃあまずは水に顔をつけるところから始めたらいいのかな」
「それが怖いから!」
「ブラックー!ちょっと戻ってきて……」
「そこまでしなくていいよっ!」
「こういうことはあの子に見てもらうのが一番なんだよ?チェレンもベルも泳げるようになったから、その点は保証する!」
「だけどっ!カノジョの方がキミよりずっと情け容赦がないんじゃ!?」
「何騒いでるのよ」
ブラックがざばぁと顔を出した。髪の毛を絞りながら僕たちを見る。
「何かノーマが素晴らしく綺麗なクロールしてるけど……あんたたち泳がないの?沖の方凄く綺麗だったわよ?」
「そうなの?じゃあ行こっかなぁー?」
Nを横目で見ながら僕は沖の方へ顔を向ける。
「……ぐすっ」
「こらそこ泣かない。泳げなきゃ沖まで行けないでしょうに」
「何?あんた泳げないの?勿体無いわねー。ノーマですらあんなクロールしてるし、リーファだってゆらゆら漂って遊んでるのに」
「でも特訓したくないんだったら、仕方がないから置いてこっかな?残念だけど、僕だって綺麗な風景見たいしなー」
「…………」
レシラムがにやにやしながら僕たちを見ている。やがてNはがっくりと頭を垂れた。
「……おねがいします」
「はい、よろしい」
「しょーがない。手、持っててあげるから、まずは水に慣れましょ。泳ぐ練習はその後」
「……はい」