白夜の夜明け.2

□あとがき
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ここからは少し説明をば。

題名の『白夜の夜明け』の「白夜」は北極圏のフィンランド北部で起こる現象から取りました。

皆様ご存知とは思いますが、説明すると夏至を中心とした前後の時期に日が落ちず、太陽は地平線に沈みきらずにまた昇るという現象が起こります。

それぞれの夏に真夜中でも薄明か、または日が沈まない状態です。

日本的にいえば逢魔が時に近いでしょうか。

白夜の期間、人間の体内時計が狂う為に寝る時はとにかく部屋の中を真っ暗にして、アイマスクなど使ったりして寝るそうです。

この期間は人々は普段は闇を恐れながらも夜の来訪を待ち、そして日の訪れを待ち望むのです。





ヒロインや骸さんにとって、今まで白夜の世界にいたと思うのです。

一日がきちんと二十四時間と季節も日々も移り変わってるのに、彼女たちの時間は何処かで止ってしまったまま。

例え深夜の時間であっても宵が訪れず、朝になり昼になっても太陽は地平線を移動している。

どんなに足掻いても泥沼に足を取られたまま動けず、いつしかそこが泥沼と気付かないままに歩いた気になっている感じ。

昼(白または陽)にもなれない、夜(黒または陰)にもなれない……どちらも必要で不可欠なのに人は自分にないものを求めて迷路のように彷徨ってしまう。

けれど明けない夜はないんだよ、といいたかったんです。

うまく説明出来ないのがもどかしいです。



ちなみにフィンランドでは白夜の時期を「ミッドナイト・サン」と呼び、冬至には逆に太陽が昇らない現象を「カーモス」と呼ぶそうです。

カーモスの時期は地平線の下の太陽から差してくる光が空に広がる為、暗闇がずっと続くわけではありません。
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