白き岸壁の果てに…

□ 6 .はじまりの衝撃的告白
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先程と違って風が強くなった空中庭園で彼女は一心不乱に捜し物をしてる。……いや、捜し人というべきか。

「此所だよ」

……そういった瞬間には慌てて植込みとか至る所を捜し始めて、ボクの声なんて聞こえない位必死になって、既に彼女の至る所が土で泥だらけ、枝とかで引っ掛けて擦り傷だらけ……。

その上このボクを無視するなんて、良い度胸だよね。










溜め息をついて今までのことを整理する。

……取り敢えずこの子は十代半ば、いや後半……もしかしたら二十歳位。

雰囲気や立ち振舞いから一般人だね。

突然空から落ちて来たオンナノコ。

ボクを異様に怯えていたのはボクのことを知ってるからだろうか。

でも彼女にマフィアの顔は出さなかったのに(隠しきれないモノがあるんだとしたら地味に落ち込むな)

それなのに、その恐怖より上回る『五歳位の女の子』の存在。

“娘”だといってた。

妹でもなく親戚の子でもなく、それは自分の子という意味?

え、彼女十四歳の母とかいうヤツ!?

何だか異様にムカムカしてきた。

キミは何処の虫ケラにその身を開いたのさ。

誰に甘やかな声を聞かせて柔らかな肢体を預けたの?










ボクのことは全力で拒否して押し退けたくせに!









そんなボクに気付かず彼女は捜し続ける。

時折「いない」「お願い…出て来て」とか絶望と懇願の切羽詰まった声が聞こえて、その可愛い顔を涙と土でクシャクシャにして。



夕闇が辺りを支配した頃には、彼女は力なく泣いていた。

決して狭くない空中庭園を全て探して、震える身体を叱咤して金網から下を覗き込んで落ちていないのを確認して……ボクの方が自殺するのかと焦ったよ。

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