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□始まりの朝
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ザザ ァン…



遠くに聞こえる波の音で目が覚めた…

もう…朝?

横を見ると私を腕枕して抱きしめながらスゥスゥ暎くんが寝ている


私…本当に暎くんとしちゃったんだ…//


下腹部に残る僅な痛みがそれを証明してる

昨日の行為を思いだすと顔から火がでそうなくらい恥ずかしい…

でも私の胸はなんとも言えない幸福感で暖かかった

スゥスゥ眠る暎くんの寝顔はあどけなくて…

昨日私に見せた男の人の顔はもうそこにはなかった

長いまつ毛
引き締まった筋肉質な腕

暎くんの全てが愛しく感じる…――

私は暎くんにキスを落として…ベットを抜け出し去年のクリスマスに二人でみた朝の海を見つめる

「わぁ…綺麗!!」
海は日の出に照らされてキラキラと輝いている…水面には光の道が出来ていた

春先の潮風はまだまだ冷たくて、近くにあった瑛くんの珊瑚礁の制服である白いシャツを羽織った

「くす…おっきぃ」


私は窓辺に腰掛けて海の変わる表情を眺めた



この海みたいに…私たちの関係もどんどん変わって行くな…とぼんやり考えた

初めて出会った時は…瑛くんとこんなことになるなんて考えても見なかった

それなのに…
もう今は瑛くんの存在が私の中ではほとんどを占めていて…そして昨日の行為でそれがもっと大きくなった気がした


瑛くんが私としたがっているのはなんとなく卒業してから感じていた

デートの度に深さを増すキスとか…その後の余裕の無さそうな熱っぽい眼差しとか…

私も自然とその期待に答えたくなった

瑛くんに触れたい…

そう純粋に思うようになった

付き合ってからどんどん自分が欲張りになっていて困る

初めて瑛くんと初体験してしまったくすぐったさと幸福感…

そしてこの海のように何か新しい日々が始まる期待感で私は胸がドキドキしていた…―――



「コラ、一人で朝の海見て黄昏るの禁止。」

ギュッと後から瑛くんが抱きしめてきた

「瑛くん!おはよう」
「ん…おはよ」

背後から抱きしめられたまま上からキスが降ってくる
触れあったところから伝わる温もりが暖かい


「…オマエ体冷えてる。」
「うん…ずっと朝日見てたから…でも瑛くんのワイシャツ借りたよ?」

瑛くんはじっと私の姿を凝視する

「…絶対誘ってるとしか思えない。裸にワイシャツとか反則だぞ?」

「きゃあ!?」

そう言って私をお姫様抱っこしてベットへと下ろし、瑛くんは私の上に覆い被さる

「…おまえが悪いんだからな?俺があっためてやる」

ニッといたずらっ子みたいに笑った瑛くんがまた愛しくて…

私は瑛くんをギュッと抱きしめた


「あ…花びら…」
「え…?」
「桜の花びら…おまえの頭についてた」
「くす…森林公園からついてきたんだね」

ヒュウ――ッ…
その時潮風が吹いて
瑛くんの指から抜け出した花びらは窓の外の海へと飛んでいった





これからの二人の未来がずっとずっと幸せでありますように





私は海へと舞飛ぶ花びらにそっと願った


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・end*
お付き合いありがとうございました!

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