BLEACH 長編

□05
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ひらひらと、綺麗な黒が飛んでいる。
ここは瀞霊廷、七番隊隊舎。

それは男の前で止まり、そして自分の役割を果たす。



「…一番隊へ来い、だと?あのジジイ…」


顔を歪めて、男は重い腰を上げた。






「七番隊第四席、九条です」


厳重そうな扉の前で名乗る男。
そう、彼は四席。七番では四番目の位置。

それが何故こんな場所にいるのかというと…。




「来たか…零番隊副隊長、九条樹一」




何故かと言うと、彼が他ならぬその人であるからだ。



「…止めてください。今はただの四席です」

「わしはただの四席をここに呼び出す程暇ではないぞ」



やはりか。
そう思い、彼は深く息を吐いた。
つまりはそういう事。老人は彼を、四席としてではなく「零番隊副隊長」として呼んだのだ。


 
 

「お主を呼んだのは他でもない。零番隊を復活してほしいのじゃ」



厳かな空気を醸し出す老人は鋭い眼光を彼へ向ける。

静かな威圧。
年老いても尚、総隊長の座を譲らない理由が垣間見える。



「断る」


そんな威圧などお構いなしに九条は言い放つ。



「うむ…何故だ?」

「俺達はもう解散した。あんたもそれで納得した筈だ。今更復活なんてする気は無い」

「じゃが、今の瀞霊廷にはお主らが必要じゃ」

「俺達には関係ない。それに…」

「それに?」



口をつぐんだ彼に、老人が続きを促す。

男の瞳が揺らぐ。




「あの方を、もう戦場には戻したくない」



揺らいだ瞳は消えていた。




「用はそれだけか」


そう言うと九条は部屋を出て行った。



 
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