落第忍者

□04
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ある日再び勝負が始まった。



「姫ー?」


部屋の中に、姫の姿が無かった。
どこか行ったのか?そう思い、部屋を出ようとしたが…止めた。

姿こそ見えないが、この部屋には誰かがいる。
敵かと疑ったが、隠す気のない気配から、忍者ではないことがうかがえた。

…ということは。



机の上には紙。紙には「もういいよ」の文字。

ああ、やはり。
これはかくれんぼ。
私に課せられた任務は、この部屋に隠れた姫を探すこと。



しかし、上手く隠れたもんだ。着物の端も見当たらない。

だが残念。忍者の私には娘一人探すことなど簡単だ。

僅かな息遣い、きぬ擦れの音やなんかで場所なんて特定できる。

静かな息遣い。
でも少し、呼吸しづらそうだ。
狭いところにいるのだろうか、身体を折りたたんでいるな。

僅かな衣擦れの音。ああ、これは木板と布が擦れる音。

ということはあの子は…。



「みぃつけた」


押入れの引き戸を引いた。
抱えられた足に埋められた顔が上げられ、驚いた目が揺れる黒髪から覗かれた。


「貴女の負けです、姫」

「…すごいわ三郎。今までの世話役達は誰一人見つけられなかったのに」

「上手いんですね、かくれんぼ」

「わざとよ。わざと私に勝たせてたの」


ああ、やはり敏い娘だ。
じじい共のヨイショを理解している。
 

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