ボカロ 短編
□歌わせて(神威)
1ページ/1ページ
俺の主は変わり者だ。
何故なら、俺達を「可哀想」だと言う。
そして、俺に歌を歌わせてくれない。
「主、いい加減歌わせてくれ」
「嫌よ」
何故だ。
何故、主は頑なに歌わせてくれない。
「だって、可哀想なんだもの」
それは聞いた。
「私が歌わせるなんて、強制的に歌わせてるみたいじゃない」
そんなの嫌。
なるほど。
俺の主は本当に…。
「馬鹿者」
「なっ…」
主は勘違いしている。
「俺だって強制的に歌いたくなどない」
だがな。
「俺は今、歌いたいんだ」
主の歌を。
これは強制などではないだろう?
「さあ、歌わせてくれ。主」
(本当は主も、歌わせたいんだろう?)