ブリーチ 短編

□嫌い
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今日、隊長に怒られた。

書類のミスだ。




これが初めてのミスなら、まだ隊長も仕方ないと許してくれただろう。
そんなに大事な書類ではなかったし。



だが残念な事に、私のミスは初めてではない。
2、3回目でもない。
数えるのが困難な程重ねてきた。






私は書類整理が苦手なのだ。







もう、嫌になってきた。


事ある毎に来るこの丘は、泣くには絶好の場所で。


私以外に人が居たのを見たことがなかった。








「もう…嫌……」



何もかもが嫌。



「嫌い……私なんて…大嫌いっ!」









「自分が嫌いだなんて、言うモンじゃないよ」



聞こえてきたのは知らない声。





「………?」

「話すのは初めてだね」




この人、知ってる。
十一番隊第五席、綾瀬川弓親さんだ。




 
 


席官が私になんの用だろう?








「随分、寂しい事を言うんだね」



自分が嫌いだなんて、悲しいじゃないか。






「知ってるかい?」




そう言って、私の隣に座る。

頭を撫でてくれる手が温かい。






「まず自分の事を好きにならなきゃ、他人に好きになってもらえないんだよ」






嗚呼、貴方の言葉はなんて美しいのだろう。








「僕を惚れさせてみてよ」




耳元で囁く声はあまりに妖艶で。






(自分より先に、貴方を好きになってしまった)

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