その他 短編

□馬鹿みたい
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「随分来島また子さんと親しげだったわね」


「あ?」





高杉が部屋に入ってくるなりそう言った。






「だから、来島また子さんと仲良さげだったわねって」

「だから何だよ」


「……もういいわよ」




この男にこんな事言うのが間違ってたわ。





「ククク…嫉妬か?」

「ば、馬鹿みたい」

「素直じゃねェな」



私は立ち上がる。
もうこんな男の相手は疲れた。




「どこ行く」

「帰るの。もう二度と来ないわ」





「俺がいつ、そんな事許した?」




私を後ろから抱きしめる。



「離して」

「誰が」




振り払おうと腕を上げると、それごと掴まれた。

ギリッと締めあげるものだから掴まれてるところが痛い。
 


「ちょ、痛い…」

「馬鹿な事ほざく女にはお仕置きだ」

「よく言うわ。浮気者」


「もっと酷い事されてェのか?」





私の頭を掴むと、無理矢理高杉の方を向かされた。




「離してってば…!」


思いっきり突き飛ばすと、案外簡単にはがれた。
その代わり、私は反動で壁に背中をついてしまった。




「…よほど酷い事されてェみたいだな」



ニヤリと笑うその姿はまさに獣そのもので。


私が逃げる暇もなく壁に手を付くと、逃げ道を塞ぐ。


 
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