ボカロ 短編
□声
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「ねえ、ルカ。声を聴かせて」
毎日のように繰り返されるマスターからの願い。
酷い時は日に何度も。
私は抵抗する術を持たず、マスターの好きな言葉を囁き続ける。
『好き』
『好きだよ、マスター』
『大好き』
それだけでマスターは幸せそうな笑みに変わる。
「ある人」を真似すればマスターは満足する。
マスターが好きなのはレン。
私と同じボーカロイドで、私の妹の片割れ。
それと同時に私の弟である。
鏡音レン。
ちょっと滑舌は悪いけど、それでも一生懸命歌おうとする可愛い弟。
私ととても似ている声を持つ子。
嫌いじゃないのよ。
嫌いなわけじゃないの。
でもね…この時だけは、貴方を恨みたくなるの。
ごめんね、レン。
マスター、もう私を
(私を許して)