ブリーチ 短編

□忘れ物(黒崎)
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「いいの?」

「いいから言ってんだよ」


そっか。


「あ…有難う」

「おう」







なんだ。
優しいのね。










ヤンキーって噂だし、髪オレンジだし、いつもしかめっ面だし。


私の中には、悪いイメージしかなかった。







だからあまり話した事もなかった。










実は怖かったりする…。













でも、今日でそのイメージもなくなるわね。
















だって、貴女はこんなに優しいじゃない。










勘違いされるのはきっと、優しさを出すのが苦手だからね。



そして、私を含め、貴方を見る目が無いから。

人間、結局見た目なのね。








悲しいわ。








普段はいい子ぶって
「やっぱり中身が大事」
とか言ってる奴も。

どうせ第一印象がやっぱり大事。





そういうモンなの。
 










「……おい」



いきなり声をかけられ、私は覚醒した。

どうやらボーっとしていたようだ。






「何ボーっとしてんだよ」

「え…ああ、ゴメン」



本当に無意識。











「ちゃんと授業聞いてんのか?」



せっかく教科書貸してんだから。






そう言う黒崎は半分呆れ顔。



私は苦笑するしかなかった。
























 キーンコーンカーンコーン





チャイムが鳴り、授業は終わった。







「教科書有難うね、黒崎」

「おう」



優しい顔で微笑む黒崎。



「もう忘れんなよ?」




























今日はいい発見をした。

いつもは苦痛な数学の時間も、楽しかった。





















(後に私が黒崎に惹かれていくのは、また別の話)
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