ボカロ 短編
□涙(KAITO)
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「今日ね…フラれたんだ」
学校から帰るなり、マスターは俺にそう言った。
マスターには付き合っていた男がいた。
その人にフラれたんだそう。
一瞬でも喜んでしまった俺は、最低な男だ。
「そう…ですか」
「好きな人が出来たんだって」
だからフラれた。
そう言って、マスターは自嘲気味に笑う。
「その子はね、私より綺麗なんだって」
マスター…
「頭、いいらしいよ」
そう言って比べるんですか。
「料理もね、出来るんだって」
自分と比べて。
諦めようとして。
「私とは…全然違うの」
とってもいい子よ。
「なんだか、私がフラれたのも、分かる気がする」
そう言って貴女は笑うんだ。
悲痛な笑顔で。