ボカロ 短編

□名称
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マスター、私は楽器なの?





「…どうして?」


「だって…私は独りじゃ歌えない」



マスターが居ないと。
マスターが曲を作ってくれないと。
マスターが教えてくれないと歌えないじゃない。


「私は楽器なの?」


ねえ、マスター。



「ミク、貴女はどうだと思う?」




え?




「貴女はどう思う?自分の存在について」

「…そんなの…」


マスターが楽器だと言えば、私は単なる楽器。

貴女がいらないと言えば、私は消されてしまう。

道具だと思う。






「私はそうだとは思わないな…」


どうしてですか?




「だって、私がいらないと言っても、貴女には拒む権利がある。そして感情がある」




知ってる?
マスター。

私達に付けられた『感情』というプログラムは、より良い歌を歌わせる為の道具なのよ。




 
「何のために付けられた、とかじゃなくて。要は、ミクの気の持ちようよ」



私次第って事?



「ただね、ミク。私は貴女を…楽器だなんて思ってないわ」







マスター…。



「マスター…大好きっ」


私はマスターに抱き付いた。

ああ、温かい。
マスターの温もり。

いつでも私を包んでくれる、マスターの。



「私も好きよ。ミク」






優しいその声は
(いつも私を安心させてくれる)
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