REBORN 短編

□片道通行
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「失礼します」



中から「どうぞ」と、澄んだ声で返事が返ってきて。
扉を開けると、そこには愛しい人のお姿がありました。


嗚呼、なんてお綺麗な方。
何度見ても目を奪われます。



「報告書を持ってまいりました」

「そこに置いておきなさい」


そこ、と指差されたデスクの上に置くと、私を呼ぶ澄んだ声がありました。


「…なんでしょう?」


六道様に呼ばれる名前に心臓が高鳴ります。
声は震えないで紡げていたでしょうか?



「少々元気がないようですが、どうしました?」

「え?あ、いえ…」


まさか六道様に心配をされるとは、予想外でした。


「そんなつもりはありませんが…風邪でもひいたんでしょうか?今日は早めに休みます」

「そうですか…」



心配してもらえるのはすごく嬉しいものですね。
もしかしたら、初めてではないでしょうか。
私は平静を装えていたでしょうか?


「…男絡み、とかですか?」

「…え?」

「いえ、女性の悩み事といえばそれくらいかと思いまして」


男の事といえば、片想いの事か、次々と死んでいく事だろう。

マフィアのくせに色恋など、と呆れられるだろうか?
 


「当たり…ですか?」

「あ…」

「クフフ…では、もうひとつ当ててあげましょう」


六道様は一旦言葉を切り、そして…




「君の男は必ず死ぬ…そうでしょう?」



「……え」



何故知っているんですか?六道様。


私の付き合った男性の方には、確かにボンゴレの身内もいました。
ですが、一般人もいたんですよ。

それを、何故貴方が…?



「クフフ…」



独特の笑い声が響く。





「君が惚れる男は僕一人でいい」










摘む事の出来なかった果実は
(毒が塗られていました)
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