GUNDAM00

□金の斧、銀の斧
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ミッションを終えたその日、アレルヤは王留美の采配したホテルに身を置いていた。

「ふう…」

トレミーを離れ、地上での単独ミッション。

他のマイスターはバックアップとトレミーの守護に当たっている。

簡単なミッションではないが、なんとか一区切りを打った。

『ったく…』

「ハレルヤ」

『だからてめえはぬりィってんだよ』

「なにがだい」

『ミッションに決まってんだろーが』

「……………」

『けっ。そんなんだから敵さんにヤられかけんだよ』

「いいじゃないか。結果的にミッションは成功した」

『………。ま、今日は勘弁してやんよ』

「…………。星が」

『あ?』

「今夜は星が出ている」

『星なんざいつでもでてるじゃねーか』

「そうだね。でも、地上の星は綺麗だ。世界は…世界はこんなにも醜いのに…」

『…けっ』

「…あの星、たしかシリウスだ」

『シリウス…?』

「地球から見える星の中で最も輝いている星だよ」

『はぁん』

「知っているかい? ハレルヤ」

『あん?』

「シリウスっていうのは一年中見える星なんだよ」

『ふうん』

「常に人の目につく星なんだ。まるで目印みたいにね」

『…違うな』

「え?」

『あの星は目印じゃねぇ。強さを誇示してんだ』

「あの星が? どうしてそう思うんだい、ハレルヤ?」

『んなこたァ単純明快だぜ。アレがこの俺様…ハレルヤ様に似てるからだ』

「…………………」

『あ? 何黙りこくってんだ』

「違うよ、ハレルヤ」

『あん?』

「僕らは一等星どころか、星にすらなれない存在だ」

『………』

「僕らは稀代のテロリストだ。星のようにはなれない」

『チッ…』

「精々人工衛星だ」

『…なら、なってやんよ』

「え?」

『ただの人工衛星じゃねえ、宇宙艦隊になってやんよ』

「…。ちなみに衛星と艦はまったく別物だよ」

そう訂正するアレルヤは、確かに微笑をうかべていた。

部屋のガラス窓を占領していたハレルヤに、それが見えたかどうかは分からないが。

分からないが、確かに今日の星は美しかった。


 
 

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