THE SHINE

□嫌いな私
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素直になれない自分が嫌い…

どうして
私は何時も逆の態度をとってしまう??
どうして…
これを繰り返してしまう??

約束したではないか…
『もうやらない』と…
『苦しかったら、話に行く』と…
『もう、飲まない』と…
『眠れなかったら、部屋に行く』と…

何故…
何故私は…
こんな簡単な約束の一つも守れない??

「はぁっ…はぁっ…」

左腕の無数の傷…
目の前に散らばる薬…
右腕のナイフ…

「こんな私…嫌いだ…」

やってしまってから気付く…
『また二人を悲しませた』と

「私は…最低だ……」

目の前の物は
音は…
色々な物が混ざり
歪んで消えた………



気が遠くなる程の闇の中にいた。

どうしてだろうか…

少し前までなら、闇は恐怖の存在だった。
『闇の帝王』と呼ばれる吸血鬼の身でありながら、闇は嫌いだった。

でも、どうだろうか。
今はとても居心地が良い。
それが、当たり前なんだろうが……。

暫く進んでいると、いつの間にか、周りを鏡で囲まれていた。

写し出されていたのは、大嫌いな自分の姿。

約束を何一つ守れない自分…
身体を傷つける自分…
仲間を傷つけた自分…
何も出来ない、情けない自分…

「わぁぁぁぁぁぁっ!!!」

そんな自分を見たくなくて、鏡に拳を突き立て、壊していった。
音も無く、割れていく鏡…。

「はぁっ…はぁっ…」

全てを壊すと、また果てしない闇が広がっていた。

足元の鏡の破片を見ると、一枚一枚、違った何かが映っていた。
手に取ってみると、緑色の髪を逆毛にした青年と、青い髪を横にしている青年…
「アッシュ…スマイル…」

その鏡に映った二人の目は、とても冷たく、私を責め立てていた。

散らばった破片全てに、アッシュとスマイルの顔…
冷たい目…

「こんな…こんな私を見るな!!」

私は、闇の中を走った。
飛ぼうと思ったけど、翼が痺れて、使い物にならない。

走って
走って…
走って……

すると、また鏡が見えてきた。

また…
大嫌いな私の姿が…

腕を傷つけ、睡眠薬を沢山飲んだ私の姿が…

「もう…こんな私見たくない!!悪夢なら…悪夢なら覚めて…さめてっ……」

その場に蹲って泣いた。
やっぱり嫌いだ…

闇も…

自分自身も……

私の存在が
幻だったら良かったのにっ!!


「ユーリ、気が付いた??」
ゆっくり目を開けると、規則正しい鼓動と、温かさに包まれていた。
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