THE SHINE

□夢と記憶と涙と…
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「いやだ…嫌だ嫌だぁっ死んじゃいやだぁっ」
幼いユーリは泣き叫んだ。
目の前にあるのは、先刻まで生きていた少女の遺体…
ユーリにとってその人は唯一
心の底から信じられた、育ての親ともいえる
とても掛け替えのない人だったのだ。
「おねがい…目を開けてよぅ…ねぇ…ねえ!」
ユーリは冷たくなった彼女の手を握り呼びかける。
ホントは、自分が殺されるはずだったのだ…
そう、彼女はユーリを庇って死んだのだった。
ヴァンパイア狩りで、ユーリの本当の両親は、ユーリが生まれて間もなく殺されていた。
その後数年は、この国の妃に育てられていたが、
その妃も狩りの命令を出した王に殺され、ユーリは虐待を受けていたのだ。
逃げるチャンスがあり、傷だらけで逃げてきたユーリを助けてくれたのが、今、目の前で冷たくなっている女の人だった。彼女は、人間不審に陥っていたユーリに
光を与え、信じる心を教えてくれたのだった。
「ヤだよ…死んだらヤだよぉ…
一人にしないでよぉ〜おいてかないでよぅ…」
泣き叫ぶユーリ。大切な人がじぶんのせいで…
自分のせいで死んでしまった…
自分さえいなければよかったのに…
まだまだ幼いユーリにとってそれは
あまりにも辛すぎる…
悲しすぎる別れだった―――――
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