THE SHINE

□リストカット
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─蒼い夜、白い満月…
私の右手に光るナイフ…
左手頚にそっと切れ込みを入れる…
一筋の、鮮血な液体が流れる…

ワタシニモ…コンナニキレイナ チガ ナガレテイタンダ…

自分でも惚れ惚れするぐらい綺麗な血…
しかし、傷口はすぐに塞がってしまった…
もう一度、ナイフを自分の手頚に持ってくる─

「ユーリっ!!」
名前を呼ばれ、ナイフを持った右手を掴まれた。
「何やってんスかっ!!」
「アッシュ…」
ユーリを止めたのは緑色の髪の青年。
アッシュと呼ばれたその青年の頬にはキラリと光る無色な液体が流れていた。
ユーリは自分で切ろうとしていた手頚を
唯、じっと見つめていた。
「ユーリ、これは自殺行為なんッスよ!!」
アッシュはユーリからナイフを取り上げた。
それでもユーリは黙ったままだった。
「分かってるんスか!」
ユーリの肩を強くゆする。
「…分かってる…」
細く小さい声でポツリと呟いた。
緋色の瞳は輝きを失っていて、
虚空を見つめていた。
「分かってるなら…なんでこんな事…」
「……死にたかったから……」
相変わらず何処か遠い所を見て言った。
「ユーリ、自分で手頚切ったの、今日が初めて?」
アッシュはユーリをそっと抱き締めながら尋ねた。
ユーリは首を横に振った。
「……10回目……」
それを聞いたアッシュは愕然とした。

  ─目の前が真っ暗になった─  

まさか…
10回も自分で自分の身体を切り刻もうとしていたとは…
そして…
なんで今まで彼のこの行動に気付かなかったんだろうか…
もう少し早く気付いていれば
10回も身体に切れ込みを入れずにすんだだろうに…
「ごめん…ユーリ…ごめんっ…」
アッシュはユーリを抱き締めたまま、泣き崩れた。
「…どうして?…アッシュ…」
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