THE SHINE

□PRAYER〜十字架の誓い〜
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─時を越え空を越え辿り着くから…─

「綺麗な夕日ッスね〜」
オレンジ色に輝く秋の終わりの夕暮れ…
東の空はスミレ色になり、白い三日月も出ていた。
買い物帰りのアッシュはしばし足を止め、歩道橋から夕日を眺めていた。
「ユーリも見てるんスかね…」
そう呟き、ユーリが待つ城に向かうため、再び歩を進めた。

† † †
「ただいま」
アッシュはそう言い、玄関からキッチンまで一直線に進む。
「お帰りぃ〜っ!お菓子買ってきたぁ??」
そう言いながらスマイルはキッチンに入ってきた。そしてお菓子を求めて袋を漁る。
「買ってきたケド、食べるのは夕食の後にしてくださいよ」
アッシュはスマイルにそう言ったが彼は聞く耳持たずでリビングにお菓子を一袋持っていってしまった。
アッシュは溜め息を吐き夕食の支度に取り掛かった。

† † †
「さて…そろそろユーリを呼んでくるッスかね」
夕食を作り終えた彼はエプロンを解きながらそう呟いた。
そして二階への階段を上がりユーリの部屋に辿り着く。
「ユーリ、そろそろ飯の時間ッスよ」
…返事がない。
まだ寝てるのだろうか?
「入るッスよ?」
そう言い、部屋に入る。
窓は開け放たれたまま…ユーリの姿は何処にも無かった。
机の上に目を走らせると、彼がいつも詩を書くときに使っているペンが消えている事に気付いた。
「うた…書きに行ったんスかね??」
すぐ夕闇が襲い森の中だと更に暗い場所に??
一人で??
アッシュの頭の中に沢山の疑問付が浮かぶ。
取り合えず下に降り、スマイルの分だけ食事を用意する。
「あれ?アッシュ食べないの??」
「いや…ユーリを探しに行こうと…部屋にいなかったから…多分森の中かと…」
「あれ?さっきまではいたのに…じゃあ、あそこだな。うん...そうだ。この時間帯だし…」
スマイルは一人でぶつぶつと言う。そしてアッシュに向かい、
「この時間帯に出掛けたのなら、森じゃない。丘だ。歌をつむいでるハズだから、アッシュにはすぐ分かるよ」と言った。
それを聞いたアッシュは急いで外に出た。
外は既に暗く、先程まで白かった月は淡く溶けるように輝いていた。
その、月の光の様に淡く微かな歌声がアッシュの耳に入った。
ユーリの声だ!!
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