THE SHINE

□神の契約 笑顔の成立
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─どうして…

「ガーネット…おぃ!!!」

─オレは…

「死ぬんじゃねぇ!!!」

─なにも出来なかったんだ??




「はぁ…」


今のオレ…空っぽ…

「ガーネット……」

ビルの屋上で、だだっ広い空を見て、オレはただ呟いた。
最愛の人の名前…。
オレ達は同じ道を…
同じ時間を…歩み始めたばっかりだったのに…
「…ガーネット…」
左手を、ムカつく位に晴れた空にかざす。
太陽に“永遠”を誓った指輪が光った。




オレはDjで、毎晩ヒップホップからトランスまで、自分なりのアレンジを加えながら奏でていた。
ガーネットはピアノシンガーで、その奏でる歌はとても心地好かった。
オレの曲が激しい分、ガーネットの歌は踊りあかしたダンサーのクールダウンには持ってこいの楽園音楽(チルアウト)だった。
幻滅もさせず…
程良い興奮状態をダンサー達に与えた。

それが…あの日…

一緒に何時ものクラブハウスに向かっていた途中で…

「…え……む……」
「ガーネット??」
ガーネットの方を見ると、腹部から大量の血を流していた。
通り魔だった…
「…エム…わた…し…刺されちゃった…」
そう言って彼女は何故か微笑んだ…。
まるでこれは冗談だと言うように微笑んだ…。
「……エム…ゴメンね……今日は…うたえそうにないや……」
「ぃぃ…そんな事はいいから…もぅ喋んな…」
そう言っても…彼女は喋るのを止めなかった。
「…わたし…ね…エムに会えて……一緒になれて………幸せ……だったよ……」
そして、相変わらずオレに笑顔を向けてくる。
「なんで…なんでこんな時に笑ってんだよぉっ…」
目の前が歪み出す。
「だって……わたしが………くるしんでたら………えむは……………」
「ガーネット…おぃ!!!」
周りから音が全部消える。
「死ぬんじゃねぇ!!!」
同時にガーネットの“時間”も止まった。
「ガーネットぉぉぉぉぉ!!!!!」
名前を叫んでも…
どんなに抱き締めても…
ガーネットはもぅ動かなかった。
誰が呼んだか分からない救急車が来たのは、ガーネットが刺されてから15分たってからだった………。






「逢いてぇよ…ガーネット…」
左手の指輪を見ながらあの時の事を思い出していた。
らしくもなく、涙まで出てきた。
『しけた面してるなぁ青年』
「!!?」
突然後ろから声がして振り返ったが、誰もいなかった。
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