THE SHINE

□始まりの物語り
1ページ/4ページ

「ん〜…今日もいいお天気」
私は、お店を開けて外にお花を出した。

今の季節、向日葵は一番の見頃で…。そういえば、そろそろ秋桜なんかも盛んになってくるな。

「さて…今日も頑張るかな」
お花買う人なんて、一日通せば少ないケド、それでも、お誕生日だとか、お見舞いだとかでお花贈られて、誰かが笑ってくれるなら、花売りとしてはとても嬉しい。
だから、どんなに売れ行きが悪くたって、一本たりともなおざりにはしたくない。
「あの…」
「あっ…いらっしゃいませ」
突然後ろから声をかけられて、ビックリしてしまう。
挨拶しながら振り返ると、そこにはグレーのスーツを着た、若いサラリーマンが立っていた。
「どんなお花をお探しですか?」
「いや…花じゃなくて……」
その人は、足元をキョキョロと見てから
「あの…ここら辺に猫いませんでした??」
「猫ちゃん…ですか??ん〜…見てませんねぇ…」
相当慌てている。
よっぽど、その猫ちゃんが大切なのだろう。
「あぁ…何処に行っちゃったんだろう…昨日から何も食べてないんだよ…」
「は…はぁ…ι」
それは飼い主さんとしては心配になってしまう事ね。
「ぅわっ!!!もぅこんな時間だよぉぉ〜ι」
その人は時計を見て更に慌てる。
「あのっ、ししゃも……この猫見たら教えて下さい。じゃっ!!」
「あ…ちょっ……」
「わぁ〜また怒られるぅぅ〜っ」
大慌てで走り去っていく。
「教えてって言われても…」
どうやって教えてあげればいいのやら…ι
渡された写真には、さっきの人と、白っぽい猫が一緒に写っていた。
「でも、こんなに大切にされて…猫ちゃんきっと、幸せなんだろな」
写真を見て、思わず微笑んでしまう。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ