THE SHINE

□ガトーショコラ
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楽屋に届けられた沢山のチョコ…。
ズラリと並べられたチョコを目の前にアッシュは悩んでいた。
まぁ…これは毎年見る光景であって。
「暫くチョコ見たくなくなるかも…。まっ、頑張ってね〜」
ボクはそうアッシュに言い残して楽屋を出た。
姿を隠し、正面から堂々とスタジオを出る。
出る時に、ユーリがファンに囲まれていたケド…
『ごめんユーリ。助けられなくて』
心の中で謝り、急いで裏道に出る。
そこで、待たせているんだ…
「かご〜めちゃん」
短い黒髪に、黒いワンピースを着た女の子…
「スマイル君??」
彼女はキョロキョロと辺りを見回していた。
「ごめんごめん」
ボクはかごめちゃんの前に姿を表した。
「正面から出た方が早かったから」
「ごめんなさい…私の所為で…」
彼女は下をうつ向き、少し小さめな声で言った。
「かごめちゃんの所為じゃないよ。ボクが正面から出たかっただけだから。じゃっ、行こっか」
ボクはかごめちゃんの手を引いて歩き出した。

「スマイル君…」
「ん??」
「えっと……これ…」
そう言うと彼女は、持っていたバッグから綺麗にラッピングされた箱をボクにくれた。
「ボクに??」
そう尋ねると、彼女は首を縦に振った。
「ファンの子から、いっぱい貰ってるから、渡すの止めようと思ったけど…でも、やっぱり渡したかったの…。迷惑…だったかなぁ…???」
「ううん!そんな事ないよ!!!ありがとう」
ボクはその箱を受け取る。「開けていい?」
「うん……」
包みを、比較的丁寧に剥がし、箱の蓋を開けた。
中には一口サイズのショコラケーキが5つ……
「ボクの為にわざわざ作ってくれたんだね」
彼女に微笑み、一つ口の中に入れた。
チョコの甘い感じと、ブランデーの味が口の中いっぱいに広がる。
「えっと…おいしい??」
恐々聞いてくる彼女にボクは
「うん、とってもおいしいよ」
そう答えた。
「良かった〜」
彼女は満面の笑みを浮かべてそう言った。
「ボクは幸せ者だよ。ありがとう、かごめちゃん」
ボク達は手を繋ぎ、歩き出した。


─ねぇ…かごめちゃん…

─ん?なぁに??

─また…作ってくれるかなぁ??

─えと…あんなのでよければ…何時でも作るよ?

─ありがとう


SWEET END...
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