呪われた人々

□ルドベキア(♪+†)
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─あなたが…力を捨てたから……─

その目は俺を責める…

─あなたが…あの城を逃げ出したりしたから…─

その声は酷く胸に突き刺さる…

─私ヲ殺シタ悪魔ノ使イ…─

「ロザっ!!!」
何かを掴むように無意味に手を伸ばしたまま、悪夢から覚めた。
嫌な汗が額を濡らす…
激しい鼓動…
荒い呼吸…
「クソッ!!!」
それは未だに消え去りはしない
罪であって
罰であって…。
頭を抱え、溜め息を吐いた。
「大丈夫??随分うなされてたみたいだけど…」
部屋の扉が開き、金色の髪を揺らしながら彼女は部屋に入ってきた。
「ジュリア…」
「全く…兄さんもヘクターも。私を心配させないでちょうだい」
腰に手をあてて、少し怒り気味で言う。
「俺は一体…」
確かジュリアと薬草採りに行って…
そうだ…魔物の集団に出会したんだ。
それで…ジュリアに襲いかかろうとしたから、剣を抜いて………
「貴方は魔物の一撃を受けたの。毒を持つ魔物の…。助けて貰ったのは嬉しいけど…。無茶しないで…」
彼女は寂しそうに俯いた。
「でも俺、フェアリー…召喚した……ような……」
朧気に覚えている…。フェアリーの羽根を見た。
あれは…幻だったのか???
「えぇ、確に召喚したわ…」
『ますたぁぁ〜っ!!!』
彼女の後ろから、緑色の服を着たフェアリーが飛び出してきた。
「フィー…」
『ごめんなさい、ごめんなさぁぁぃっ…ボク…ボクも解毒魔法使えれば、ますたぁ、苦しまずに済んだのにぃぃ〜っ、わぁぁぁぁん…』
俺の膝の上で泣きじゃくる。
「フィー、誰にでも得意、不得意はあるんだ。だから泣くな…。それに、初めての事で戸惑ったろう??」
『ひくっ…ひくっ…ますたぁっ…』
「フィーちゃん、解毒剤作るのを手伝ってくれたの。お陰で早く作れたわ」
「そうか。それはご苦労だったな」
フィーの頭を指で撫でてやる。
『ますたぁ…怒ってない??』
「怒るものか。お前は頑張ったんだ。疲れたろう?ゆっくりおやすみ」
『ぅくっ…ありがと、ますたぁ』
そう言って、小さな光になったフィーは消えた。
「…兄さんとは大違いね。同じ悪魔精錬師なのに…」
彼女はぽつりと呟いた。
「兄さんの使い魔達はみんな氷の瞳をしていたわ。正に魔物…。まぁ、それがあの子達の本来の姿なんだろうけど…。でも、貴方の使い魔達はみんな温かいわ」
ジュリアは俺の隣に腰掛けた。
「……来い、カイン!!」
俺は、彼女の兄─アイザックが常に引き連れていたのと同じタイプの使い魔を召喚した。
「これでも…同じ事を言えるか??」
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