呪われた人々

□最期の夢、真の祈と願(†)
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─主よ…私はとっても幸せでした─

「伯爵様、お生まれになりましたよ!!!」
「何、本当か!?」
「はい。立派な御子息です」

─貴方が生まれた日、あの人は息を切らしながら部屋に入ってきたわ─

「あなた…見て下さいな。私達の可愛い子ですわ」
「あぁリサっ…よくやったっ!!!」

─形振り構わず、私と貴方を抱きしめてくれたのよ─


「父上〜母上〜ほら、見て下さい」
「おぉ凄いぞアルカード。もうそんな事が出来るようになったのか」
「本当凄いわ。頑張ったのね」
「これでは、あっと言う間に私に追いついてしまうかもしれんな」

─貴方が始めて召喚に成功した日…あの人はそう言って、とても楽しそうに笑ったわ。出会った頃には、ちょっと考えられなかった位、とても楽しそうに…─


「おい女、ここで何をしている??」
「あっ…すみません。私、気付かずに敷地に…」

─殺戮の王と呼ばれるあの人に声をかけられた時は、ついてなかったと思ったけれど…─

「まぁいい。知ってるぞ。お前、村で病人の為に薬を作り回ってる女だろう??」
「はい。リサと申します」
「他人の為に…魔物が徘徊する辺鄙な所まで薬草を摘みに来るなんて、ご苦労な事だな」
「私の目の前で苦しんでいる人がいるんですもの。放ってはおけませんわ」
「…しかし、夜に薬草を摘みに来るのもどうかと思うが…」
「その薬草が、今日みたいな満月の夜にしか現れないもので…。昔はこの山の入り口に沢山あったんですが、今は…。白い花が咲くんです」
「ふむ…満月の夜に咲く花か。それなら、中庭に沢山あったな。案内しよう。必要なら持っていけ」
「良いんですか??ありがとうございます」

─それから、あの人は満月の夜になると、お茶を用意して、私を待っていてくれたわ。そして帰る時間になると、入り口まで見送ってくれて…。とても嬉しかったわ─
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