LoveVampire

□風邪引き編☆
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†ユーリの場合†

「またギリギリまで言わないんスから…」
ユーリの寝室。
薬が効いて良く眠っているユーリの傍で、アッシュは静かに呟いた。
「あまり無茶しないで下さいよ…」
ユーリの顔にかかっていた髪をそっと払い、困った様な笑みを浮かべた。

どうしてユーリは何時も…
辛い事があってもギリギリまで…
壊れる寸前まで黙って耐えているんだろう…
今回だって、熱があるにも関わらず、PVや雑誌の取材に応じ、楽屋で倒れた。
しかもオレ達に熱がある事を黙って全ての撮影をやってのけたのだ。
「オレ…ユーリの支えになれてるんスかね…??」
眠っているユーリに訪ねる。

ユーリと出会ってから、数年が経つ。
最初、プライベートでは近寄りがたい存在だった。
でも…
あの夜、部屋の隅で一人蹲って泣いていた。
その時オレはただ、抱き締める事しか出来なかった。
言葉をかけてあげたかったのに、何も言ってやれなかった。
その時決めたんだ。『この人だけは何があっても守っていこう』と…。

アッシュはユーリと出会って今の関係になるまでを振り返っていた。
「…………ーネ………」
寝言を言ったユーリを微笑ましく思いアッシュは少しだけ笑った。
「………………………」
声には出さず、ユーリは何かを言い、涙をぽろぽろと溢した。
「…ユーリ…」
アッシュはユーリの流した涙を指ですくった。
「苦しい時は甘えていいんスよ」
声がなくてもその言葉が聞こえたアッシュはユーリにそう言った。
『私…強くなるから…』
ユーリが声無く言った言葉。
アッシュは、何故だか泣き出したくなる気持を抑えて眠っているユーリを抱き締めた。
熱がある所為か、何時もよりユーリの身体が温かい。

一人で無茶してほしくない…
一人で苦しんでほしくない…
こんなにも…
大好きになってしまった。
だから…
過去の痛みを…
辛さを…
オレにも分けて…
そしたら
ユーリの苦しみも半分になるんだから…
END...
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