LoveVampire

□バレンタイン編☆
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「ヨアヒム〜、今日は何の日か知ってるぅ〜??」
サキュバスはレオンの部屋で本を読んでいたヨアヒムに問掛けた。
「ん??今日???何日だっけ…」
「2月14日よ。っていうワケではい。私から…」
そう言って彼女はラッピングされた小さな箱をヨアヒムに渡した。
「…開けていいの???」
「えぇ」
渡された当人は何事かと首を傾げ、箱を開けた。
「チョコ???」
「そうよ」
「2月14日にチョコ渡すのって意味あるの??」
その質問にキョトンとするサキュバス。
「意味あるのって……ぁ、そっか。ヨアヒムは監禁されてたのよね。知らなくて当然だわ…」
「????」
「あのね、東洋の小さな島国では、2月14日に、女の子が好きな人や友達にチョコを渡すのよ」
サキュバスは、相変わらず頭に疑問符を浮かべていたヨアヒムに説明をする。
「まっ…長い付き合いだからね。甘いモノ好きなアンタにとっては嬉しいでしょ??」
「うん。サキュバス、ありがとう!!!じゃ、さっそく……」
満面な笑みを浮かべて、ヨアヒムはチョコを食べた。
その瞬間、『よっしゃ!!』と心の中で叫び、ニヤリと笑いながらガッツポーズをしたサキュバスの姿があったのを、ヨアヒムは知らない………。


─その数分後…─

「ヨアヒム、今日はガトーショコラを……あれ???」
買い物から帰ったレオンは部屋のドアを開けた。
「あら、お帰りなさい」
ベッドの上に腰掛けていたのは、ヨアヒムではなく夢魔…。
「サキュバス、ヨアヒムは何処に行ったんだ???」
「んふふふっ」
に〜っこりと笑いながらレオンに近付くサキュバス。
「ねぇレオン、貴方は知ってるわよね?今日が何の日か…」
「今日?あ…ぁぁ…バレンタインだな……」
ジリジリ近付くサキュバスに後退りしながら答えるレオン。
「あのね、貴方に良いものを用意したの」
「そ…そうか…。それよりヨア……」
「付いてきてくれるわよね?」
ヨアヒムは何処だと聞こうとしたレオンの言葉は見事にサキュバスに遮られた。
そしてくるりとレオンに背を向けて歩き出した。
「…その笑顔が妙に邪悪に満ちていると思うのは、私の気のせいか…??」
レオンはポソリと呟いた。
「何か言ったかしら??」
「…いや何も…」
渋々とサキュバスの後をついていくレオン。
連れて来られたのは、刻忘れし庭園の一部屋…。
「一体…此処に何があるんだ??」
と、部屋の中央まで進んだ瞬間…
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