7周年企画小説
□【キラオオカミの恋】
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とある場所のとある動物園…
そこに、キラーというオオカミがいました。
キラーには、最近気になって気になって仕方ない子がいました。
それは、触れ合い広場に最近やってきた、ももいろうさぎのリヒトです。
リヒトは、みんなから「リっちゃん」と呼ばれていました。
キラーは、ほぼ毎日やってきては、茂みの中からリっちゃんの事を見ていました。
リっちゃんの笑った顔が、キラーは凄く大好きでした。
ある日、リっちゃんは広場の隅っこで泣いていました。
「どうしたの??」
「大丈夫??」
同じ広場のお友達…ねこユーリとねこヨアヒムがリっちゃんに声を掛けましたが…
リっちゃんはただ首を横に振るだけでした。
─チクリ…─
それを見ていたキラーは、何だか胸が痛くなりましたが…
とりあえず、帰る事にしました。
オオカミ小屋に帰ったキラーは、さっきの事を、先輩オオカミであるアッシュと、異国からやってきたオオカミ、レオンに話しました。
ダブルで頭に肘鉄をくらいました。
「何でそのまま戻って来たんスか!!正真正銘のバカかお前はっ!!!」
アッシュは言いました。
「好きなのだろう??だったら、キラーがその子を笑わせてあげたら、いいだけの話
レオンも半ば呆れながら言いました。
「あぁそうか!!先輩!オレもっかい行ってくる!!!」
キラーはアッシュの作ったお菓子を持って触れ合い広場に戻りました。
が…
リっちゃんの姿はありませんでした。
「なぁ、ももいろうさぎ知らね??」
近くにいた猫達にたずねました。
「リっちゃんなら、小川の方に行ったよ」
ねこユーリは答えました。
「なんか元気なかったね」
ねこヨアヒムも言いました。
「そっか。サンキュー」
キラーは急いで小川へ行きました。
小川のほとり…
リっちゃんはただじっと小川を眺めていました。
眺めているうちに、だんだん悲しくなってきてしまって…
とうとう泣いてしまいました。
「なぁ、何で泣いてるんだ??」
後ろから声がして、リっちゃんは振り向きました。
「君…だれ??」
リっちゃんはたずねました。
「オレ、キラー」
「キラー…。私は…リヒト」
「なぁなぁ、何で泣いてたんだ??」
キラーは、隣に座りながらリっちゃんにたずねましたが…
やっぱり、リっちゃんは首を横に振るだけでした。
「……」
「……」
しばらく周りは、小川の流れる音と、草が風にそよそよとゆれる音しかしませんでした。