THE SHINE

□最期の春
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─いろいろな意識が…消えていく─
『私は…』
ユーリはゆっくりと目を開けた。
白い病室…
身体は既に云うことを利かず、寝たきりの状態が続いていた。
いつもと変わらない風景…。
窓から見えたのは、病院の中庭に立っている満開の桜…
「ユーリ…気分は…どうッスか…?」
ユーリの手を強く握りながら、アッシュは今にも泣きそうな声で言った。
「だれ…だ?」
ユーリは小さく聞き返した。
「オレです…」
アッシュはそれだけ言うと、握り締めたユーリの手の上に涙を落とした。
─あぁ…私はこの温もりを知っている…─

闇の住人に寿命はないが…
病魔に犯されてしまえば、どうすることも出来ない。
ユーリが倒れてから、既に2ケ月は経っていた。
その間に季節も変わり…
と、同時にユーリの命の灯火も残り僅かになっていた。
アッシュは毎日、ユーリが入院している病院に通っていた。

「ユーリ…覚えてますか?オレ達の事…」
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