THE SHINE

□WHITE WORLD〜幸せを呼ぶ声〜
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Point of view Yuli

─真っ白な世界を、私は彼を探して歩いていた。
『アッシュ…?』
確かに私は、さっきまでアッシュに抱かれていた。
沢山沢山…愛を貰った…。
気が付いたら、ここに立っていた。
そう…その時まで、アッシュは確かに私の隣にいた。
一瞬だった。
辺りを見回して…
『何もないな…』
そう呟きながら、アッシュがいた所を見たら…
『アッシュ??』
いつの間にかいなくなっていた。
私は彼を探し、歩き出した。
必ず、この空間にいると思った。
でも…行けども行けども、アッシュに逢えない…。
『アッシュ…』
私が発した声は、周りの白に吸い取られ…
やがて、ある一つの考えが私の脳裏をかすめた。
歩くのを止める。

あぁ…またこの時が来たんだ…と
私はまた円還には加われないんだと…
『アッシュ!!!わたし…私を置いて逝くなっ!!!!!』
私は叫んだ。
叫んで…叫んで…
とにかく、がむしゃらに叫んだ。
『私を…独りにしないで…』
私は立っていられなくなり、その場に崩れた。
『アッシュ…』
その時、頭に温もりを感じた………──

「ん…」
私は目を開いた。
「ユーリ、おはよう」
アッシュが額に口付けてくれた。
「アッ…シュ」
ちゃんといてくれた…
ちゃんと私の側にいてくれた…。
そしたら急に安心して…
「ユ…ユーリ!!ちょっ…どうしたんスか…」
熱い雫が沢山頬を流れて…
「よかっ……わたしっ…アシュ…いなっ…ゆめ……」
途切れ途切れにしか出なかった言葉なのに…
「大丈夫。オレはユーリの前からいなくなったりしないから」
力強く抱き締めてくれた。
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