呪われた人々

□水牢之人(†+‡)
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ここに閉じ込められて、どれ位の時間が過ぎていったのだろう…

今日も目を閉じて、水の流れる音に没頭する…

瞑想……

何処かの部屋に仕掛けられているであろうギロチンの刃が擦れる音も微かにする…

「まぁた瞑想でもしてるの??」
「なんだ…お前か…」
僕の目の前にコウモリの翼を持つ女性が現れる。
「何よ…つれないわね」
女性…と言っても彼女も、この城の一角を守護する魔物には変わりない。
「退屈してるアンタに良いこと教えに来たのに…」
「良いこと??」
僕は彼女を見上げた。
「新しい挑戦者よ。とっても綺麗な金髪の。殺す事考えると、ワクワクしちゃう」
彼女は楽しそうに飛び回る。
「ふ〜ん…」
「ふ〜ん…って…興味無さげね」
「どうせ、また蛇頭のおばさんに石にされるさ。まぁ、その前にここに来たって、僕が倒しちゃうもん」
片手を上げて地面に刺さっている剣を一本浮かす。
「そのメディウサが倒されて、オーブを3つも持ってここに向かってるって言ったらどうする??」
彼女はにやりと笑った。
「へぇ〜あのおばさん倒したんだ。じゃあ楽しみだね」
「でしょ??まぁ、アンタが負けるなんて、これっぽっちも思ってないケド…たまには私にも楽しみを頂戴よ」
彼女はそう言って消えた。
「僕が負けること少しは望んでるんじゃないか…その言い方…」
浮かせたままだった剣を再び地面に突き刺して、僕は扉の前に移動した。

何度もここから出ようと思った。
こんな扉位、僕の能力で簡単に開けられる。
橋が架けられてなくたってテレポートすれば向こうに渡れる…
でも…この扉だけは開けられない…。
向こう側から、凄い水圧で扉が押さえられているのだ。
「やっぱり無理か…」
諦めて、もといた場所に戻る。
そしてまた目を閉じて瞑想にふける。
また、ぼんやりとした時間が過ぎる。

─ガターン…─

大きな音がして、目を開ける。
「橋が架ったのか…」
じゃあもう少ししたら、その挑戦者は来るのか。
でも、挑戦者を倒せばまた橋は無くなっている。
同じ事の繰り返し。

扉に背を向けて、また目を閉じて水の音に耳を傾ける。
水路をバシャバシャと誰かが此方に向かって走って来る。
外にいる魔物の気配も一つ、また一つ消える。
相当の兵の様だ。

─バーン!!!─
この部屋の扉が開けられた。
「まさか…人??囚われているのか??」
部屋に入ってきた奴が僕に問掛けてきた。
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