呪われた人々

□僕の居場所…(†+‡)
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「ヨアヒム〜、レオンと街に買い物行くけど、アンタどうする〜??」
サキュバスが部屋のドアを開けながら言った。
「僕はいい…。人混みと真昼は苦手だ」
「そうだったわ。じゃあ欲しいものとかある???」
「………」
欲しいもの…
僕が欲しいものは……。
「特にない。それより、街中で飛んだりしないでよ?」
「失礼ね…それ位解ってるわよ…」
彼女は少し怒りつつも、ドアを閉めながら笑顔で「いってきます」と言った。
この家に、今は僕一人…
レオンは…ここは僕の居場所だって言ってくれた。
この部屋だって、レオンの部屋なのに、僕の為に昼間はカーテンがしてある。
僕は床に座って目を瞑った。
何時からか…なかばクセになってしまった。
あぁ…そうだ…。
あの場所では、何時も水の音がしていた…。
ここでは、どんな音がするんだろう……。
窓の外の音に意識を集中する。
鳥…鳥の声が聞こえる。
久しぶりに聞いた。
最後に聞いたのは…いつだったかな……。
あぁ…確か……


────
そう…僕が人間だった頃…僕がいた街の東に大きな館があった。
前々から気になっていた。
暇潰しに、その館では何をしているんだろうと透視をしてみた。
そこでは「神になる為の実験」が行われていた。
錬金術を研究している人間が数多くいて…「賢者の石」と言われる石を精製するために、沢山の人間を殺していた…
人間の…醜い部分を見てしまった。
なんと愚かで脆弱で……。
絶望した…。
その時に、外で鳥が鳴いて。
その鳴き声は、まるで人間を嘲笑っているかの様で………。
────
「人間は…やっぱり醜い……」
何だか思い出したくない事を思い出していた。
だめだ…別の事を考えよう…
いや…何も考えない様にしよう。
空間と一つになるんだ……。

─────
『ヨアヒム、お前…』
隠し通してきた‘力’がバレてしまった…。
周りの人間は僕を“悪魔”だの“異端児”だの言った!!
両親は金に目が眩んで僕を東の館に売り渡した!!!
────
「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
何で…何で何でっ…。
あの場所で同じように目を瞑っても、昔を思い出す事なんて無かったのにっ!!!


*-+*-+


ふと気が付くと、背中がとても温かかった。
後ろから、誰かが抱き締めてくれていた。
僕はあの後、何を言ったのか、どんな行動をとったのか全く解らない。
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