呪われた人々

□オレガ彼奴等ヲ嫌イナ理由〈ワケ〉(†+‡)
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理由其之一…アノ方ノ子


「父上、もうこれ以上人間を虐殺するのはお止めくださいっ!!!」
「くどいっ!!!いいか、人間は私の最愛のリサを…お前の母を殺したんだぞ!!!」
「だからって…この様な事母上は望んではいないっ!!!!」

毎日繰り返される親子喧嘩…
『アルカードの奴も、懲りねぇよなぁ〜毎日毎日』
アルカードの父親…つまりドラキュラ様が魔王軍を送り出す度に『止めろ』だの『母上は望んでいない』だの言う。
「俺は何が何でもこの様な事をくい止めてみせます」
「ふん。ダンピール如きが一丁前な口ききおって」
「…っ!!!」
彼は怒って玉座の間を飛び出した。
これも何時もの事…。
「…マザコン…」
「なんだとっ!!」
出てきた彼に一言言ってやった。
「アイザックお前、今何つった!!」
「マザコンって言ったんだ。聞こえなかったのか??」
言い放ったオレにアルカードは食い掛ってきた。
「誰がマザコンだっ!!」
「オメェしかいねぇだろ。毎日母ちゃん母ちゃんって…。ちったぁドラキュラ様の言うこと聞いてみたらどうだ?」
「聞けるものかっ!!!いいかアイザック、父上は人間を大量虐殺してるんだ。みすみす見殺しに出来るかっ!!!」
「アホか。その人間がテメェの母ちゃん殺したんじゃねぇか。オレだって人間の放漫は許せねぇな」
「…アイザックも…父上と同じ事を言う……」
さっきまで威勢の良かった彼が急にシュンとなった。
「…ヘクターがこの城を出ていったのが良くわかるよ…」
彼はオレを睨みつけ、黒いマントを翻し闇に溶けていった。
「なんでそこでその名前が出るよ…」
ヘクター…
オレと同じ悪魔精錬士だったヤツ…
人間から疎外された者同士、妙に気が会った。
と、同時に惹かれるモノもあった気がする…。
今となっちゃどうでもいい話だな。
「あんな裏切り者…」
呟いた言葉は深い闇に落ちた…。


─数日後…─
「アイザック……」
アルカードがオレの部屋を訪ねてきた。
相変わらずの黒いマントと腰に携えられた愛用の細身の剣…
「ぁ??どっか行くのかお前」
その質問に彼は静かに頷いた。
「アイザック、お前は父上の行いを…許せるか??」
「許せるも何も、オレは人間が嫌いでね。なんせ魔女家系に生まれてるから、昔から迫害対象…可哀想に、妹は山の中で一人ひっそり暮らしてるさ」
「…案外妹思いだったんだな…」
彼は軽く笑った。
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