短編集
□いつかまた(後編)
2ページ/9ページ
翌朝、タクトが目を覚ますとすでに家の中にアンヌはいなかった。
台所にはタクトの分の朝食が用意されてある。
だが、アンヌがいない。
アンヌはあんまり出掛けたりしない。
特にタクトが家にいるときに外出したことは、ほとんどなかった。
ましてや、こんな朝っぱらから出掛ける事などないだろう。
まさか
まさか、出ていったなんてこと………はないよな…?
タクトはふとそう思った。
だがすぐにその考えを消すように、首を振る。
俺とアンヌは条件で結ばれている。
条件を破らない限り、アンヌは俺から離れて行くことはない。
俺はアンヌに湖の近くの家をプレゼントしたし、アンヌは俺の奥さんになった。
どっちも条件を破ってない。はずだ。
だがそこでタクトは、はっと気付いた。
俺がしてる浮気は俺が提示した条件を破ってる?