短編集
□いつかまた(後編)
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タクトは知らない。
アンヌがタクトとリナがBarから出てくるのを見てしまったことを。
アンヌはタクトが浮気をしていることに全く気づいていなかった訳ではないだろう。
しかし、雰囲気を感じるのと目で見るのとは全く別のものだ。
あまり家から出ないアンヌがたまたま通った場所で見た夫の浮気現場。
例え偽りの夫婦だったとしても夫婦は夫婦。
いつの時代だって夫婦仲を脅かすのは浮気なのだ。
タクトの浮気はタクト自身が提示した<アンヌを奥さんに>という条件を破ることだ。
守るべき条件が破棄された今、アンヌは自由の身となった。
タクトは知らない。
これから先の将来が今までのようにはいかなくなることを。