戦国BASARA

□君が居るうちに
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あなただけが俺にとっての光だった。

ずっと側に居たかった。

それなのに…なぜ?







とある戦。


目の前であなたは斬られた。

周りに飛ぶ鮮血…

敵の勝ち誇った顔。

俺は幸村を斬った相手を原形を留めない位に斬りつけた。

何度も何度も、気が狂いそうになるまでに。

それは怒りと守り切れなかった自分への苛立ちが込められていた。


斬られた幸村は誰が見てももう助からないとわかる状態…

死があの人を連れて行こうとしていた。





『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…』

幸村の側で俺はひたすら謝り続けていた。


「謝、るな…佐、助の、せい、ではな、い」

虫の息で切れ切れにあなたは言葉を紡ぐ。

どんどん虚ろになっていくあなたの瞳が俺を見ている。

その姿に思わず涙が溢れそうになる。


なぜ俺達は引き裂かれなければいけないのだろう。

なぜ髪が白くなるまで仕えきることができないのだろう。


誰よりも大切なのに…

こんなにも好きなのに…


「…佐、助?ど、こだ、見えな…」

幸村は力なく手を宙にさ迷わせる。

俺はその手をとって自分の頬に寄せた。

壊れ物を扱うようにそっと…

『ここだよ…俺はここに居る。ずっと、ずっと…』

「そう、か…よかっ…た」


軽く微笑むと瞳はゆっくり閉じてゆく。

とても安らかな顔、まるで眠っているよう。



『旦那…?ねぇ…起きてよ…起きてくれよ!俺を…一人にするなよ…』

いくら呼び掛けても瞳が開くことはない。

『う…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

俺は幸村を抱き締めて声の限りに叫ぶ。

体は次第に硬く、そして冷たくなっていく。


なぜ俺は幸村が生きている時に気持ちを伝えられなかったのだろう…

おそらく主従という関係を壊したくなかったのだと思う。

この関係はとても俺の中で大切なものだったから。

でも伝えれば違う未来があったはずだ…

少なくとも温もりをなくしていく体を抱き締めるこんな“今”ではない“今”が。










あなたは俺が自分の気持ちを言う前に俺の前から居なくなってしまった。




だからもしまた出会えたら今度こそ…
















『…大好きです……旦那…』






素直にそう言いたい。

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