戦国BASARA
□光
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暗い暗い闇の中で光をみつけた。
白く輝く美しい光、それは…
「なにをしている?こんな所で果てるなど我が許さんぞ」
―――お前の腕だった
*
「…何で早く殺してくれねえんだよ」
元親らしくない弱音がこぼれたのは監禁されてから6日が経った夜だった。
ことの発端は数日前、元親が宝島の地図を手に入れたことから始まる。
地図を提供したのは信頼の置ける相手で元親はなんの疑いもしなかった。
そして意気揚々と島へ足を踏み入れたのだが…
『馬鹿め、まんまと騙されたな』
そこに待っていたのは宝ではなく、敵対している海賊の一味だった。
不意をつかれ、為すすべもなく捕まってしまう。
船は乗っ取られ、乗員は全て監禁。
特に元親への警備は厳しく手足は太い鎖で繋げられ、食事の時でさえ外されることはなかった。
「畜生!いつまでこうされてなきゃなんないんだよ!?」
少し離れた牢屋から苛立った声で叫ぶ仲間の声が聞こえてくる。
6日間にも及ぶ監禁、誰もが心身ともに限界だった。
(なんで裏切ったんだよ…)
脳裏に浮かぶのは地図をくれた親友と呼んでも過言ではない友人。
島に着いた時点で海賊一味が居たことを考えると、あいつが金と引き換えに地図を渡したとしか思えない。
頭では冷静に考えられるのにどうしようもなく身体が震えた。
『…なんでだよ…』
頭に浮かぶのは数日前に地図を手渡してくれた時の親友の声
『元親!すっげー地図手に入れたんだよ!!特別にお前に譲ってやる』
『くれぐれも気を付けて行って来るんだぞ?お前はよく無茶するから』
『けどそんなとこも結構気に入ってたりするんだけどな』
『まあ何かあったらすぐ帰って来いよ!俺は何時でも―――』
「お前の味方だから…か…」
呟いた瞬間涙が溢れた。
こうなってしまうと今までの笑顔も言葉も全て嘘だったように思えてくる。
「ははっ最初から俺を騙すために取り入ってきたのかもな。馬鹿みてーだ」
思わず自嘲めいた笑いがこぼれる。
誰よりも仲間を大切にしてきたけど大切に思っていたのは自分だけで、相手にとって自分は…
(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)
辛い、悲しい、憎い、寂しい、痛い
「…このまま死んじまうのも悪くねえかもな」
虚ろな瞳で天を仰ぐと不意にそんな言葉がこぼれる。
元親は絶望に打ちひしがれながら死を待つしかなった。