脳内世界を組み立てろ!!

□I am ready for death
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雨が地面を強く叩く梅雨のあの日。

俺達は出会った。




「俺に弟?」


俺の兄、慎悟がポテトチップスをかじりながら話し掛けてきた。


「そうなんだよ堕和(きお)。君は今日から兄さん(あにさん)になるんだよ」


もう一枚ポテトチップスをかじってから特別嬉しそうな顔もせずに言った。
俺はふーんと言ってから雑誌に視線を移す。
ソファの背もたれの部分に肘をつき、再びポテトチップスをかじりつきながら俺を見下ろす慎悟。


「おいおい、君はまだ小5なんだからもっと喜びなよ」


ポテトチップスをかじりながら俺の読んでいた雑誌を取り上げる。
雑誌を持っている手のまま固まっていると、手をグッと握り震わせた。
イライラしたからソファを殴るが、ポスッという気の抜けた音しか出ないのに更にイライラする。


「小5の堕和は大人しくマンガ読んでなよ」


「慎悟ッ!お前は高2で俺よりも5歳年上だからって俺を子供扱いするな!!」


ソファから降り、ソファの背もたれに肘をつきながら俺から取り上げた雑誌をパラパラと見ている慎悟を睨み付けながら怒声をあげる。


「まぁまぁ、聞きなって。その弟くん、僕たちと血が繋がってないんだよ」


雑誌をそこら辺にポイと投げ捨てた慎悟にムカつきながらもその言葉に耳を傾ける。


「血の繋がってない…?」


「そうそう、その弟くん両親亡くしちゃって1人だから僕たちが引き取るんだって」


くるくると指を回しながら頬杖をついている慎悟。
はぁとため息をつきながらさっき慎悟が投げ捨てた雑誌を拾い上げる。


「だから母さんや父さんがいないのか」


さっき見ていたページを探しながら呟く。
慎悟の食べていたポテトチップスが無くなったのか袋を床に捨てる。


「おい、ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てろと何回言わせるつもりだ」


雑誌から顔を上げ、俺に背を向け立ち去ろうとしている慎悟に言ってみる。


「だって、そーゆーのは兄さんの仕事じゃん♪」


手をふりふりと振りながら部屋を出ていってしまった慎悟に向かってため息をつきながら、ゴミを拾ってゴミ箱に入れた。
再び雑誌に視線を移そうとした時、ガチャリと家のドアが開く音が聞こえた。
雑誌を読むのを邪魔されたのに少しムカつき顔をしかめるが、雑誌の今読んでいるところに付箋を貼ってから棚に置く。






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